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2022/11/09 17:43
イラストや写真、しいてはプレゼン資料など、見栄えが重要なものの多くには視線誘導という考え方があります。すなわち作品の中で一番目立たせたいものに自然と目が行くような構成をすること。絵を描くうえで視線誘導は欠かせないものであるとともに、身に着けるには経験が必要なものでもあります。
さて、視線誘導に使われるテクニックのひとつに、コントラストがあります。写真の加工をよくされる方は馴染み深いかもしれません。写真加工でよく使われるのは明暗のコントラストと彩度のコントラストでしょうか。
通常、このコントラストがはっきりしている方が見栄えがよくなると言われています。すなわち暗いところはしっかり暗く、明るいところはしっかり明るくする。プロの方の絵でなんとなくコントラストが弱い、彩度が全体的に低い、と感じるようなことがあっても、スポイト機能を使って確認すると意外なほど暗かったり明るい部分があるものです。こうしたコントラストをうまく使ってやると、視線誘導が巧みな絵が生まれます。例えば、背景の明度を低く、中心にいる人物の明度を高くすることで人物が目立つ。人物の顔の彩度だけを高くして顔を目立たせる。他には、背景の明暗や彩度のコントラストを弱くして、人物のコントラストを強くすることでコントラスト差が強い人物に視線を誘導する、という手段があります。
ところで、「写真加工でよく使われるのは明暗のコントラストと彩度のコントラスト」と言いましたが、実は他にもコントラストは存在します。よく使われるのは「情報量のコントラスト」。これは描きこみ量のことです。たとえば、背景は大雑把に描いて、人物は顔や服装を細かく描く。すると、人は自然と情報量が多いところに目がいくので、人が目立つという訳です。また、目立たせたくない場所の色数を少なくして、目立たせたい場所の色数を増やす、というのも「情報量のコントラスト」だと僕は考えています。
他には、「寒暖のコントラスト」というのもあります。寒色の中にポツンと暖色がある、またその玉で暖色の中にポツンと寒色があると、自然とポツンと描かれたところに目が惹かれます。これも視線誘導の上では有効です。
恐らく他にもコントラストは存在するでしょうが、僕が使っているのは以上です。これら全てを有効に使えるレベルにはまだ達していませんが、意識するだけでもかなり絵が上達するのではないかなと思っています。もし絵を描く機会があれば、コントラストも意識してみてはいかがでしょうか。